キャリートラック クラッチオーバーホール
平成13年式、5.9万km走行のスズキ キャリィトラック。
クラッチが滑り気味とのことで、クラッチオーバーホールです。


まずは、ミッションオイルを抜き、プロペラシャフトなどを外して、トランスミッションを降ろします。
4WDなので少し重いですが、しょせんは軽なので、ミッションジャッキなど使わず大人二人で抱えて降ろすことができます。


ミッションを下ろすと、クラッチカバーが見えてきます。
ミッションケース内はクラッチのダストでかなり汚れています。



かなり摩耗しているクラッチディスクのみでなく、クラッチカバー、レリーズベアリングを加えた3点セットで交換するのが、クラッチオーバーホールの基本です。

さらに、フライホイール側のパイロットベアリングも交換して、クラッチディスクのセンター出しをしながらクラッチカバーを組み付けます。。

トランスミッションを組み付け、プロペラシャフトなどを元通りに組み付け、ミッションオイルを注入したら作業完了です。
ミッションを組み付ける前に、ミッションリアのオイルシールも交換してあります。
プログレ ブレーキブースターの異音
平成13年式、8.3万km走行のトヨタプログレ(JCG10)。

お客様が数年前に中古で車両を購入された直後から、ブレーキを踏んだ後にマスターシリンダーの辺りから「キュキュキュキュッ」といった音が聞こえていました。
この車両は、一般的なガソリンエンジン車に採用されている真空倍力装置(いわゆるマスターバック)ではなく、電気式のブレーキブースターが採用されています。
そのため、ブレーキを使用してアキュームレーター内の油圧が低下した後に、アキュームレーター内にフルードを送り込む際のポンプの作動音であると思われます。
ブレーキの制動力自体には問題ないし、警告灯が点灯するわけでもないので、しばらく様子を見ましょうということで乗られていました。
しかし、どんどんと音が大きくなって、道行く人が振り返るほどになってしまったので、いよいよ何とかしなければということでご入庫いただきました。

このマスターシリンダーAssyですが、アキュームレーターポンプだけでも新品だとかなり高額となるため、お客様のご要望で程度の良い中古パーツと交換することとなりました。

わりと程度の良い中古パーツが見つかりましたので、交換作業を進めます。



マスターシリンダーAssy交換後は、ブレーキフルードのエア抜き作業を行い、作業完了です。
例の音も出なくなり、快適にお乗りいただけるようになりました。
ハイエースにLSD取り付け
平成17年式、28.2万km走行のハイエース(KDH200V)。
FRでは雪が降った時に自宅前の坂道を上れなくなってしまうため、リアデフをLSDに変更したいとのご要望です。

純正のLSDは設定がないため、今回はクスコ製の1wayタイプのものを取り付けることとなりました。




デフオイルを抜いて、ドラムブレーキを分解し、ブレーキフルードパイプやサイドブレーキワイヤーを切り離したら、バックプレートごとアクスルシャフトを抜き取ります。



デファレンシャルピニオンからプロペラシャフトを切り離して、デファレンシャルキャリアを取り外したら、とりあえず、リングギアとドライブピニオンとのバックラッシュと歯当たりを確認しておきます。
歯当たりは問題なさそうで、バックラッシュは規定値よりも少し大きめでした。


ベアリングキャップを外し、ディファレンシャルケースを取り外したら、リングギアをLSDの方に組み替えます。
サイドベアリングは新品を使用します。



LSDをディファレンシャルキャリアに組み付けて、バックラッシュの調整と歯当たりの点検を行ったら、新しいガスケットを取り付けて、リアアクスルハウジングにディファレンシャルキャリアを組み付けます。
あとは、プロペラシャフト、アクスルシャフト、ドラムブレーキなどを元通りに組み付けて、最後に専用のデフオイルを注入したら作業完了です。
ヴェルファイア トルコン太郎でATF交換
平成21年式、8.8万km走行のヴェルファイア(GGH20)。
トルコン太郎でATF交換です。



まず、ATFのドレンプラグとオーバーフローチューブを取り外して、オイルパン内のATFを抜き取ります。
トヨタの場合、抜き取り用のドレンプラグと量調整用のオーバーフロープラグが別々に設けられている車種と、抜き取りと量調整を同じプラグで行う車種がありますが、この車は後者のタイプです。


オイルパン内のATFを抜き取ったら、オイルパンを取り外して清掃するとともに、ストレーナーを交換します。


オイルパンを元通りに取り付けたら、抜けた分のフルードを補充した後、ATFクーラーラインにバイパスホースを接続して、ATFの圧送交換を行います。



今回は、ワコーズATFセーフティスペックを13L使用して交換しました。
交換後のクリーナーモニターのATFは、新油同様の透明度とはいきませんが、最初に抜き取ったATF(ビーカー)と比較するとかなり赤味と透明度が増していることがわかるかと思います。


最後に、油温検出モードで油温を調整しながら、オーバーフローチューブから余分なATFを抜き取って量調整します。
抜き取られたATFは、かなり透明度が高いことがわかると思います。
ヴェゼルHV 自損事故でフロント周り修理
平成26年式ホンダヴェゼルHV。
自損事故でフロント周りを破損したのですが、車両保険に加入されていないため、自費修理です。

電柱のようなものに衝突したらしく、フロントの中央が大きく凹んでいます。

フロントバンパーを外してみると、バンパービームが押されて、クーラーコンデンサーとラジエターが変形し、さらに、バルクヘッドやサイドフレームも大きく曲がっています。

修理のため、ボンネット、バンパービーム、クーラーコンデンサー、ラジエター、ヘッドライト等を外します。
この後、バルクヘッドやウォッシャータンクも外しましたが、なるべく費用を抑えるため、今回はエンジンは下ろさずに修理します。

大きく曲がったサイドフレームは引っ張っただけではなかなか元に戻らないため、ガスで炙りながら形を戻しました。

再度フレームのおおよその修正が終わったら、バルクヘッドパネルを仮付けして、レーザー光で確認しながら正確にセンター出しを行います。
このセンター出しをちゃんと行っておかないと、ヘッドライトやバンパーがキレイに取り付け出来ません。





センター出し、フィッティング作業が完了したら、仮付けしたパーツを取り外し、それぞれのパーツを塗装します。


水温センサーに接続するカプラーが破損していましたが、メーカーから交換部品として供給されるのはワイヤーハーネス一体のもので、3万円以上と高額です。
今回は自費修理のため費用をできるだけ抑えたかったので、同型のカプラーキットを探して、カプラー部分だけを交換したことで、部品代は数百円で済みました。

塗装が終わったら、各部品を取り付けます。
破損したラジエター、クーラーコンデンサーは社外新品に交換、ファンシュラウドやファンは破損していましたが、ファンモーターは再利用しました。
左右のヘッドライトも取り付けステー等が破損していましたが、部品が高額であるため、修理して再利用しました。
ラジエターとクーラーコンデンサーを取り付けた後は、冷却水の補充、エア抜き、冷却系統の真空引きを行います。

事故の際にコンデンサーが破損し、冷媒ガスと一緒にコンプレッサーオイルも多量に漏れ出ていたので、ガス補充時にコンプレッサーオイルも補充しました。
この車両はハイブリッド車で、電動コンプレッサーが採用されているため、従来のオイルとは異なる絶縁オイルを使用する必要があります。
従来のオイルと混じることがないように、ゲージマニホールドも専用のものを使います。

事故時に多数のエラーコードを拾っていたので、一度、エラーコードを消去した後、再度、自己診断を行いましたが、エラーがすべて解消されていることを確認しました。
